初めまして、カフェオーナーの田中久美子と申します。
この度は、にゃんこカフェホームページにお越しいただきありがとうございます。
カフェの猫たちは全て保護猫で、保護された場所もカフェにやってきた理由も様々な子たちですが、カフェを始めたのは“たった一軒のお家”との出会いでした。
拙い文章ではございますが、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
始まりは2016年の寒い冬の日のことでした
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にゃんこカフェを始める前から保護猫活動を行っていた私は、いつもの様に猫たちの餌やりに回っていると、暗がりの中、見かけない年配の女性に目が止まりました。
餌らしきものを置いて立ち去ろうとする後ろ姿に胸騒ぎを覚え、思い切って声をかけたところ、TNRを始めて10年、その間可哀想な境遇の子を引取り世話をしてきたが、里親を探す手段が無く途方にくれていると内情をお話しされました。
<その時は、きっと心の優しい方なのだろう、何か力になれればいいなと思い、後日お宅に伺うことに。
訪ねた先のお宅での衝撃は、今でもとても言葉で表すことができません。
彼女に連れ帰られた猫たちは、想像を絶する環境下に置かれていました。
6畳ほどの、今にも傾きそうなプレハブハウス2棟に詰め込まれた約30匹の猫たち。
扉を開けた途端、すさまじい悪臭が鼻をつき、トイレも床も汚物まみれ、砂や餌がそこらじゅうに散乱し、その餌もまた、腐敗が進んで蝿がたかっている状態でした。
その女性は猫を助けたいという気持ちはあるものの、「生き物を適切に飼育する」能力に著しく欠けた方だったのです。
知ってしまった以上放っておく事もできず、女性の了解を得て、ブログでボランティアを募ったところ、ありがたいことに数名の方が参加してくれることになりました。
「よかった、これで少しは改善できる」と安堵したのもつかの間、私の前に次々と厳しい現実が待ち受けていました。
救えなかった命たち
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ボランティアの活動は、立地の悪さに加え、プレハブに隣接する福祉施設の職員の方が猫の存在を快く思っておらず、トラブルを回避するため1週間で通えるのは、施設側が指定された2日だけ。
これでは掃除が行届くはずもなく、焦りだけが募る中、同じ部屋から5頭が連続して亡くなるという最悪の事態が起きてしまいました。
急に知らない人が入り込んできたストレスだったのか、ここにさえ来なければ、きっとまだ元気に走り回っていたのではないか、やるせない気持ちで心が折れそうになる中、さらに事態は悪化していきました。
女性は複数の事業を手掛けており、前述の施設も彼女が運営しています。
内情は火の車で多額の負債を抱え行き詰った彼女は、あろうことか、施設を土地ごと売りに出されてしまったのです。
そこに猫たちが暮らしているのにかかわらず。
過酷な境遇に耐え、必死に生き抜いてきたのに、今度はその住処さえ奪われてしまう。
関わった当初から猫たちを救出したいという思いはもちろんありました。
でも、その後はどうするの?
こんなに大勢を養っていけるのか、新たな崩壊を生むだけではないのかなど、様々な不安に見舞われ、ずっと二の足を踏んでいました。
ですがこの一件で、私の心は決まりました。
自分の気持ちだけで保護して、自分の都合で、逃げ出すこともできず、翻弄されるしかない命を優先できないような人の元に、これ以上猫たちを置いておくことはできないと強く思いました。
もう、終わりにしよう。私が助けてあげる
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女性は経済難を理由に、あっさりと猫を手放すことに同意されました。
急いで借宿に全頭を移しましたが、そこはいつ立ち退きを迫られてもおかしくない状況で、毎日が綱渡りのようで、治療が必要な子も大勢いて、一日も早く落ち着いた場所を見つけなければなりませんでした。
探しても探してもこの子たちを受け入れてくれる場所は中々見つからず、資金も無くて、精神的に苦しい日々が続きましたが、たくさんの方の協力を経て、2018年3月22日ニャンコカフェをオープンさせることが出来ました。
この子たちの体調について
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ただ、今でも女性の所では、多頭飼育崩壊が起きないようボランティア活動を継続しており、女性から猫を保護したり、他にもこのような活動をしていると、多方面から保護の相談や依頼は終わりが見えず、常に猫たちが出入りを繰り返しています。
この子たちは、劣悪な環境下で過ごして来た為、免疫力が低く、ちょっとした温度差で風邪を引いてしまいます。
また、慢性的にくしゃみ・鼻水・目やにの症状が消えない子、口内炎の為、お口が臭う子も居ますが、みんな大切な命です。
他の方からみたら100%では無いかもしれないけど、精一杯この子たちを愛し、適切な医療を受けさせています。
どの子も本当に可愛くて、一匹一匹性格が違い、笑顔と幸せをくれる子たちです。
カフェよりもこの子達の体調を最優先に、急なお休みなどご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、どうか温かい目で見守って頂けたら嬉しく思います。
最後に
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ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
カフェにお越しの際は、猫たちとの時間を心ゆくまで堪能いただけると幸いです。
よければ事前に猫たちのプロフィールを確認して、名前を読んであげてくださいね。
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